ラブコメ 百人一首



忘れじの 
行く末までは 難ければ
今日を限りの 
命ともがな

訳

「忘れないよ」とあなたは言ってくれるけれど…
未来もず〜っとあなたの愛が続くのは難しいでしょうから
この幸せな今日、死んじゃいたいわ

解説

高階貴子は円融天皇に仕えた内侍で、名字を一文字とって「高内侍(こうのないし)」と呼ばれていました

学者の父を持つ才色兼備の女性で、当時、出世競争にシノギを削っていたエリート貴族・藤原道隆に求愛され結婚します 


で、その新婚ラブラブな時に詠ったのがこの歌。
道隆から「ずーっと君のことを愛してるよ」という歌をもらった時に返した歌なのかも 

みんなも、「ああ、もう幸せ」っていう時に「今日の幸せがずっと続くわけいし…も〜今日死んじゃいたい」って思ったことってない? 

まさに1000年前の女性も同じように考えていたなんて、親近感湧くよね 

しかも、「そんなこと言わないで僕の愛は永遠さ」と恋人に言わしめるこれまた「甘え上手な歌」なんですよね

彼がそう返歌したかはともかく、その後出世レースを勝ち上がり、関白にまで昇り詰めた道隆は、愛人はたくさんいたものの、高子を正妻としてずっと大切にしたとか

そして息子・伊周は18歳の若さで内大臣に、娘の定子は一条天皇の中宮にと、一族は繁栄の一途をたどります 



…が栄枯盛衰は世の常

道隆が48歳で亡くなった後、伊周はある事件を起こし不敬罪で流罪に、それを受けて中宮・定子は落飾(出家)するという不幸の連続…

そしてその悲嘆の中で、貴子は亡くなるのです



「幸せの絶頂の中で死にたい」と願った彼女が、不幸のどん底で生涯を終えたなんて、なんだかとても切ないですね

ワンポイント文法

「じ」は打消しの意志の助動詞の連体形

「難けれ」は形容詞「難し」の已然形

「ば」は確定条件の接続助詞

「と」は格助詞

「もがな」は願望の終助詞

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