ラブコメ 百人一首



心にも
あらでうき世に ながらへば
恋しかるべき
夜半の月かな
三条院

訳

こんな辛い憂き世で長生きしたいとも思わないが、
意に反して長生きしたなら、どんなに恋しく思うことだろう、この美しい夜更けの月を

解説

清少納言の仕えた定子や紫式部の仕えた彰子が中宮に就いたのが、一条天皇の時代。

その皇太子だったのが三条天皇ですが、一条天皇の皇子ではなく、数代前の冷泉天皇の皇子で一条天皇より4歳年上でした。

一条天皇時代は長く、25年の皇太子時代を経て、三条天皇は36歳でようやく帝位をGET

よっしゃ〜やっとわが世が来た…と思いきや、時の権力者・藤原道長が立ちはだかります

三条天皇には既に愛妃がいたのに、自分の娘を入内させ、無理やり中宮にしてしまうなど、なにかと強引な道長と三条天皇は次第に火花バチバチ

しかも、その道長の娘が男皇子を産まなかったため、道長は自分の孫である皇太子(前の一条天皇と、道長の娘・彰子の間の皇子)をなるべく早く即位させるべく、三条天皇に退位を迫ります

即位後まもなく、三条天皇は病のため片眼をほぼ失明しており、道長はそれを理由に退位を迫ったわけです

更に、悪いことは続くもので、失火により内裏(皇居)が二度も炎上・焼失 眼病は益々重く、いつしか何も見えなくなるかも…

心身ともに疲れ果てた三条天皇は、在位たったの5年足らずで退位を決意。その退位1ヵ月前に詠んだのがこの歌なんです。

こんな辛い世の中、生きていたいとも思わないが、この美しい月さえ見えなくなる日も遠くないかもしれない…

そんな絶望感と月の美しさが胸に迫る、切ない一首です

ワンポイント文法

「で」は打消の接続助詞。

「うき世」は「浮世」と「憂き世」を掛けている。

「ながらへ」は下二段活用「ながらふ」の未然形。

「ば」は仮定条件を表す接続助詞。

「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形。

「かな」は詠嘆の終助詞。

ページ先頭へ
一覧へ
トップへ
(C)企画・運営:GO★ナビ製作委員会
運営協力:大学受験を目指す全国の高校生